web拍手 近衛文麿―教養主義的ポピュリストの悲劇 (岩波現代文庫)(2009/05/15)筒井 清忠商品詳細を見る近衛文麿という政治家は日本でも有数の名家の出身政治家であり、また、大正デモクラシーの残香が残る昭和初期にあっては、長男を米国に留学させるなど非常にスマートなイメージを持つ人物であり、それが大衆の人気を得ることになります。同書に寄れば、近衛人気は近衛自身が作り上げた部分はあるにしても日本の初期の大衆社会が生み出し..."> 近衛文麿・・・教条主義的ポピュリストの悲劇 を読んだ 好日亭日乗
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近衛文麿―教養主義的ポピュリストの悲劇 (岩波現代文庫)近衛文麿―教養主義的ポピュリストの悲劇 (岩波現代文庫)
(2009/05/15)
筒井 清忠

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近衛文麿という政治家は日本でも有数の名家の出身政治家であり、また、大正デモクラシーの残香が残る昭和初期にあっては、長男を米国に留学させるなど非常にスマートなイメージを持つ人物であり、それが大衆の人気を得ることになります。
同書に寄れば、近衛人気は近衛自身が作り上げた部分はあるにしても日本の初期の大衆社会が生み出したポピュリストであるとのことであり、この人気の形成には

(1)「近衛イメージ」の形成という内容の問題
(2)どのようにそれが広められたのかという「媒体」の問題
(3)誰がそれを好んで受け入れたのかという「受容層」の問題
同書152頁

があるとのことで、(1)については「華冑界の新人」という言葉が象徴するように五摂家の意図津に所属する貴族でありながら、長男を米国に留学させ、本人はゴルフをたしなみ、また、知識人として社会主義にも理解を有するなど非常に「モダン」なイメージを醸し出しながら、方や五摂家としての名家のイメージ、ナショナリズム・アジア主義による「日本的なもの」・「東洋的なもの」への理解を有するなど復古的なイメージも有していました。
「モダン性」によって都会の大衆をつかみ、「復古的なもの」で地方や陸軍、国家主義者の支持を得ることができたということです。
(2)についても、当時広まっていた新媒体「ラジオ放送」、「レコード」、そして情報機関の設置による対外報道・対内宣伝、文化工作の一元化を図ることで、情報操作を行える体勢を構築していきました。
(3)については、「青年宰相」に代表される若さという年齢ファクター及び「美丈夫」に代表されるビジュアル性が大衆(特に女性に)に強くアピールしたのでした。これには当時のハリウッド映画のハリウッド俳優の人気の浸透によるものであったのでしょう。またインテリ層に対してはその教養の高さがアピールしていきます。また、大衆に対しては相撲稽古を観に行き、それが新聞のスポーツ欄に掲載され、また、重要な論文は大衆差し胃に寄稿するなど大衆に近い存在としてのイメージを与えることになりました。

近衛が日中戦争から太平洋戦争までの道筋を作ってしまったことはそのとおりであって、近衛に当時の政治の責任者としての責任はあることは間違いないことではありますが、一方では近衛でなければこの流れは止めることができたのか?という疑問もそのとおりです。

日中戦争の拡大についても、同書に寄れば近衛自身は拡大は望んでおらず、ドイツなどの仲介で休戦を試みようとしたのですが、「国民世論」がそれでは納得しないという判断が結果として事態の拡大をもたらしてしまいます。またもう一人のポピュリスト松岡洋右のアクロバティックな外交が国民の支持を得たこともあり、結果として日本は破滅の道を歩むことになってしまったのです。
同書は近衛の悲劇を以下のように結論づけます。

権力論的に言えば、軍部・官僚・政党などの当時の政治権力に実態的な根を持っていない知識人政治家・近衛のような立場の人間が、政治指導者たろうとすれば(特に軍部と対抗するには)ある種のポピュリズムが必然化するしかなかったともいえよう。
すなわち、教養主義とポピュリズムという問題が現代社会におけるリーダーの問題を考えるに当たって避けて通れない未決の問題としてわれわれの前になお立ちふさがっていることを、近代日本の生んだ有数の知識人政治家・近衛の華やかで寂しい生涯は告げているのである。(同書305頁


そういえば、かって小泉純一郎がポピュリストと批判されたことがありましたが、小泉と近衛には共通点が多いし、その後を継いだ安倍晋三はその毛並みの良さやその政策とは反するソフトなイメージが大衆に受けたことを思い起こさせます。天下太平のころの指導者としてはポピュリスト政治家でもよいのでしょうが、現在のような混乱の時代ではこのような危険な存在なのかもしれません。今、新党設立ブームで舛添要一あたりが有名首長と会談したという記事が新聞に載りましたが、マスコミのなんたるかを知り抜いているであろう宮崎県知事と、マスコミ受けのする桝添が手を組むようなことがあると究極のポピュリスト政党ができあがる可能性もあると思っています。

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Author:kodebuya
関西出身のkodebuyaです。
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